好きあらば自分が足りぬ

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0702 魔神授業

https://twitter.com/studysapuri_hi/status/875207914629156865

 

ツイッターでよく見るスタディサプリのプロモーション。

これの全てがカンに触る。

 

1. 「神授業」という売り文句

神○○という賛辞は「とりあえず神付けときゃ大丈夫」なのであり、学問を教える側がこのような雑な表現を使うことはタブー視されていなければならない。

どこか「神○○って言えば良い印象になるだろう」という、今の学生をナメたニュアンスすら感じる。

 

2.恐らく授業の映像ではない

授業をする側、される側のどちらの視点に立っても、あのスピードの授業が何十分も続くとは思えない。プロモーション用に撮ったものだろう。

 

3.雑な強調

「他」にマルを付けておいて「自」にはチョークでコンとやるだけである。他動詞を特別強調したい訳でもなかろうに。

 

4.その場凌ぎ的な説明

「目的語をそのままとれば自動詞、目的語を取らないあるいは目的語を取る時に前置詞を必要とすれば他動詞」というのが僕の習った「見分け方」である。

「何を」と突っ込むから云々と言う方が分かり易いかもしれないが、動詞を見ていちいち「何を」と突っ込めるか否かを吟味する手間は目的語の検討をする手間とさほど変わらない。

それに「look」「listen」が自動詞であることがあの説明の反例となる。致命的だろう。(一度日本語に訳したものを検討するからそうなる、との指摘がTwitterに落ちていてなるほどなあと思った。)

 

5.ニーズに合っているという事実

「子ども騙し」と言えば伝わるだろうか。

特に低学力層において生徒自身の欲する授業は「とにかく理解できて、大筋で合っている」ものだ。

いくら厳密には間違っていようが生徒自身が受けたがるのはああいう授業なのだ。

英文法に理解のある親が授業内容を見る、ということが起こらない限り親も金を落とすだろう。

老人向けのスマホ操作代替サービスを彷彿とさせる。

「神講師」には確かに金が入っているのだ。

 

6.この題材を選ばせた今の英語教育

多くの生徒が曖昧にしているところをスパッと解説して納得させられるような映像が「釣れる」映像としては理想であろう。

そこに「自動詞、他動詞の見分け方」というテーマである。

いかにも学生(主に高校1年生だろうか)の多くが「授業で先生がしょっちゅう言うけど何のことかわかってない」部分なのだろうが、元を辿れば自動詞、他動詞の区別をきちんとやってから文法に入らない学校の授業が悪い。4に挙げたような説明で学生が理解できないのなら、それはSVOCをきちんと教えていない証拠だ。

 

7.僕自身の教え方

僕もバイト中に特に時間が足りない時には、厳密には必要な情報を理解を優先して切り捨てて説明する。そうするより仕方ないし、そうせよと上にも言われている。

限られた時間で放ったらかしにされた基礎を根本から教えることは確かに難しい。

そして、僕も楽にお金が欲しい人間だ。

「神講師」にはなれようが、「名講師」にはなりえないのだろうか。
広告を見るたびに自分の未来が不安になる。