0516 究極果実
熱や塩分によって力を失い、組織だけ残ったような野菜が好きだ。
例えばキャベツの千切りにウスターソース。
かけてすぐ食うのではない。
体感30秒ほど待ってソースの塩分がキャベツから力を奪うのを待つ。
千切りは細いほどよい。
しなやかで、かつ芯のある組織を噛むたび、ソースが歯の隙間から滲み出る。
ソースはラベルによると果実由来のものだから、もはや果汁と言ってよい。
むしろ構成を考えてブレンドされ、何十年も売れ続けるミックスジュースである。
であればこれは究極の果実である。
ソースになるため抽出された果汁たちが、キャベツという組織を得て再び果実の姿をとっているのだ。
ああ塩辛い。